Cordially yours

手紙魔の手紙物語
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本妻が入院しました。

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社会人になって10年の節目の年、
一生使い続けるつもりでモンブランの
万年筆を買いました。
ペン先の大きさも文字の太さも私好みで
とても書きやすいし、初めて持つブランド物でした。
嬉しくて、大好きで、その万年筆を使ってこれまで
何通の手紙を書いてきたことでしょう。

最近になって、フェイスブックで文房具好きの
集まるマニアックなコミュニティに入りました。
そこで、最近の安い万年筆が想像以上に
素晴らしいということを知りました。
手紙の講座でも、万年筆は値段もピンキリで
安いものでも性能が良く書き易いものもあると
教えています。
それに最近は万年筆のインクが一層美しく
カラフルに勢揃いしており、インクを使い分ける
ためには万年筆も何本か必要になってきます。


IMG_3167_Fotor.jpg

私は向田邦子さんのエッセイにあるみたいに
一生使うと決めて買った万年筆を「本妻」と呼び、
これまで他の万年筆には一切目もくれていません
でしたが、いろいろな情報が私を誘惑し、何だか
浮気してみたくなりました。
そこで2号さんとして、1000円で買える只今
爆発的ヒットを飛ばしている kakuno という
万年筆を購入しました。
そして、万年筆のカラフルなインクに憧れて
もう1本に手を出そうとしたところ、本妻の
調子が急に悪くなってきたのです。

書きにくくてどうしようもなくなったので、
モンブランに持って行くか、伊東屋に持って行くか
迷った末に購入する時にお世話になった伊東屋に
持って行きました。
見てもらうと
「これは重症ですね」
と言われました。
私はクリーニングはたまにしていましたが、
買って10年以上もの間、きちんとした
メンテナンスはしていませんでした。
ペン先のダメージは想像以上で、
「もしメーカーに持って行けば、ペン先は
ほぼ全とっかえになりますよ。」
と言われてしまいました。
その場合の修理費は買った値段とほぼ同額。
そりゃそうですよね、全とっかえなんですから。
伊東屋で完全には治らないけれど調整は可能
ということで、少しでも書けるようになるならと
入院させました。

帰り道、私は何だか無性に悲しくなって
しまいました。
「ごめんね、ごめんね」
と心の中で言い続けていました。
そこまで悪くなっているなんて思いも
しませんでした。
本妻なんて呼びながら大事にしている
「つもり」で、具体的には何もしなかった
ことが入院させるまで重症にしてしまった
原因だと思うと悲しくてたまりませんでした。

万年筆に対してこの感情、笑ってしまいますが、
本当のことです。
やっぱり私には浮気をする甲斐性はなさそうです。
買ってしまった2号さんのことは、責任をもって
大事にしますが、それは職業柄という一線を引いて
お付き合いしようと思います。
本妻が戻ってくる日が待ち遠しい。
世の旦那様の気持ちが少し分かる気がしたのでした。



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